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TEACHER’S CROSSTALK

講師座談会

MEMBERS

TEACHER’S CROSSTALK

大山 守雄

校長

大山 守雄

Morio Ohyama

宮谷 敦美

教育部門長

宮谷 敦美

Atsumi Miyatani

伊藤 美保

講師

伊藤 美保

Miho Ito

SACHIのベテラン教師の座談会を開催しました。学校全体をとりしきる大山校長、教育プログラムをまとめる宮谷先生、キャリア教育支援も経験豊富な伊藤先生。それぞれの視点から、「どんな思いで学生のみなさんと向き合っているのか」や「SACHIで学生のみなさんに伝えていきたいこと」を自由に語り合いました。

Q.1

日本で学ぶことにはどんな
メリットがありますか?

困ったときでも周りのサポートがある。
だから安心して学ぶことができる。

伊藤 美保

若いうちから日本へ働きに来る人が増えていますよね。親御さんの世代から日本の文化に触れて、そこから日本を知ることで「日本で働きたいな」と考える方が多い印象です。
そういう方が「日本のどんな部分に魅力を感じているか」からひも解いていくとよさそうですが…。

宮谷 敦美

たしかにそうですね。 私は30年以上日本語教師をやっているので、「以前教えた留学生が帰国したあと、その子どもがまた日本へ留学する」ということもよくあります。
 
その中でよく言われるのが、「日本は学ぶ環境が整っていていい」ということですね。学校だけではなく、職場においても「人を育てよう」という姿勢があります。
 
そもそも日本には「自分のことは自分で」という考え方が根強くあります。例えば、学校の給食や掃除の当番も子どもがやりますよね。大人になっても同じで、工場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の考え方がいい例ですね。

伊藤 美保

集団行動とか、連帯感、協力体制を大切にするカリキュラムがしっかりありますよね。集団じゃないとできない、という弱みになることもありますが、「チームで協力して何かを成し遂げる」という体験は、やっぱりかけがえのないものです。
 
一人の手だけから生まれるものよりも、みんなで取り組んだもののほうが、最後には必ずいいものになる。だから、お互いの得意・不得意を理解してフォローしあう文化がありますよね。自分の特技を活かして、よい組織を作っていこうという。

大山 守雄

SACHIでも、ただことばを教えるだけではなく、そういう姿勢を学べるようにしていきたいですね。
 
日本では、子どもを預ける場所は必ず「学び」がセットです。親が働いている間にただ子どもの面倒をみるのではなく、遊びを通じて自分で工夫する力を鍛えたり、他者との交流で思いやりや気遣いを身に付けたり。そういう日本らしさを活かした学校でありたいです。

宮谷 敦美

日本に留学して、日本語を学ぼう」と思っている人は、上手になりたいという気持ちが強いですね。私も日本語教師になるために、いろんな国のことばを学んだので、その気持ちがよくわかります。だから、私たちもその想いに応えていきたいですよね。

伊藤 美保

留学生って、日本に対してとてもよいイメージを持っていますからね。
アットホームというか、「家族的に受け入れてもらえる」と先輩から聞くことが多いらしいですよ。

宮谷 敦美

その「先輩・後輩」という考え方も日本的かもしれないですね。
 
ただ年齢が上だというだけではなく「先に経験を積んだ人が後に続く人の面倒を見る」という思いやりを持って接する。後輩も、そんな先輩をリスペクトしている。留学生の皆さんも、この感覚は早く身に付けているみたいです。後輩として自分が助けられた経験があるから、今度は先輩としてすぐに後輩へ手を差し伸べるんですね。
 
こうした語学以外のことを身につけるためには、やっぱり日本で経験するのが一番いいです。ただことばを学ぶのではなく、日本の文化にも興味を持っているなら、いいものをどんどん吸収していけると思います。

Q.2

SACHIで「自分のやりたいこと」を見つけるために留学生は何をすればいいですか?

日本での生活を目一杯楽しんで、
身につけた日本語を積極的に使ってほしい。

宮谷 敦美

「自分とは違う考え方に触れて、考え方の引き出しを増やすこと」ですね。
自分の国と日本との違いを知りながら、いいところをたくさん取り入れていくというか。

大山 守雄

留学生の皆さんが元々持っている母国の考え方では解決できなかったことが、日本の文化や仕組みを取り入れることで解決できるケースもあるんですよね。
 
「日本人はなぜこれができるんだろう?」「そうか、こういうやり方をしているからか」という気づきがあるからですね。もちろん、私たちが気付かされることもたくさんあります。
 
ことばを学ぶだけなら日本に来なくてもできます。先ほどの質問でも少し触れましたが、日本に来ることの意味は、「日本文化を直接経験できること」にあるので、その点を意識しながら取り組んでいってほしいですね。

伊藤 美保

大山先生は留学生用のシェアハウスを運営しているじゃないですか。
「文化に直接触れることで得られるもの」に関して、留学生のエピソードがあれば、教えてください。

大山 守雄

家の中も靴を履いたまま過ごすことが当たり前の留学生は、最初は靴を履き替える習慣に戸惑うんですよ。靴を脱がない国は履き替えの手間がないというメリットがある一方で、履き替える文化には家の中がキレイに保たれるというメリットがあります。
 
知識として理解はできますが、それがどれだけ良いことなのかは、体験しないと学べないですよね。

宮谷 敦美

今はインターネットからいくらでも情報が得られる時代ですが、体験しないと得られない感覚はありますからね。
 
靴の履き替えの例でいえば、「たしかに履き替えると部屋の中がキレイだ」とか「でも履き替えるのはやっぱり違和感がある(笑)」とか全部、実際にやってみないとわからない貴重な体験だと思います。

大山 守雄

そうです。何事も、「知っている」と「やったことある」には大きな差があります。学んだことを実践しないと、本当の意味で身に付くことがない。
 
一人、ほかの学生より学習の進度が遅い学生がいました。学習の速度については、もちろん個人差があります。最初から簡単にできる人もいれば、後からじわじわ成長していく人もいる。
 
でも、その学生の場合は、「せっかく学んだ日本語を使わない」ことが、学習の進みを妨げていました。覚えた日本語を使って会話しないから、なかなか覚えられないんです。すごくもったいないですよね。

伊藤 美保

そう考えると、日本語学校の中だけではなくて、「日本で生活すること」のすべてが学びになるんですよね。学校で学んだことを、実際の日常生活でどう使っていくか。学校では学べないことを、日常生活の中からどう身に付けていくか。
 
そういう気持ちで、日本での暮らしを楽しんだり、日本語の勉強に取り組んでほしいです。そうすれば、「自分は何が得意か」「何をしているときにやりがいを感じるか」ということがわかってきますよね。

Q.3

留学生が「自分のやりたいこと」を見つけるためにSACHIではどんなサポートを行いますか?

それぞれの得意を見つけて、
いろんな経験を学びにつなげていきます。

大山 守雄

まずは、教師が学生のやりたいことに向き合うことですね。 昔は、日本人が雇えないから外国人を雇う、というような認識が世間にも広くありました。ですが今は、外国人が重要なポジションを任されることが増えてきています。
 
国籍を問わず、いろんな人が活躍する時代です。私たちも知識をアップデートしながら、学生のみなさんと向き合うことが第一ですね。

宮谷 敦美

そこはまず大前提にありますね。
伊藤先生はプロのキャリアコンサルタントなので、どうサポートしていくか、学生の意識づけのしかたなどについて、ぜひお聞きしたいです。

伊藤 美保

そうですね。大山校長も仰ってましたが、まずは本人の「何がしたいか」という気持ちを大切にしたいです。
 
そこに加えて、学生自身が自分の特性を理解して、目標を決めることが大切です。「自分でも信じられないくらい頑張った経験」や「すごく大変だったけど乗り越えられたこと」などを聞くと、その人の本当に得意な部分がわかってきます。

宮谷 敦美

留学生って、みんな夢を持って日本に来ているじゃないですか。だから、ものすごく大きな目標を言う学生もいるんですよね。大企業に勤めたいとか、起業したいとか。

伊藤 美保

そうですね。もちろんそれは素晴らしい目標なので大事にしてほしいんですが、実は本当の「やりたいこと」ではない場合も多いです。

  以前、進路を考える授業の中で「社長になりたい」と言った学生がいました。目標があるのはいいことですが、その一方で「面接でそれを言ったらどうなるだろう?」と考えると、もっと違うアプローチのやり方がある気がしました。
 
よく話を聞いてみたら、今度は「お金持ちになりたい」ということばが出てきて。それをさらに突き詰めたら「母国にいる子どものためにお金を稼ぎたい」が本音だったんですね。面接ではこのことばを伝えたほうが絶対にいいし、より本質に近い気持ちだから、相手に自分の人間性をわかってもらえますよね。
 
でも、こうした「結果に至るまでに考えていること」を言語化する力は、少しずつ身につけていくしかありません。そこの手助けを意識することが大切ですね。

宮谷 敦美

そういうのって遠回りで難しいことですよね。だからこそ、学生のみなさんには日本語を学びながら同時に考えていってほしいです。「将来はどうなりたい?」と聞かれたときに、職業や企業名ではなくて、「自分がどんな状態を望んでいるか」を答えられるようになってほしいです。

大山 守雄

日本人に対する教育でも、そこまではできていない部分があるかもしれないですね。
 
ただ一定の日本語レベルを覚えてもらう、試験で合格できるレベルになってもらって卒業するだけなら、ここまでのことをやる必要はありません。でも、SACHIでは「卒業後に、学生のみなさんがどうなっているか」を大事にしたいから、そこまでのサポートをしっかりやっていきたいですね。

宮谷 敦美

そうなんですよね。ことばは結局手段でしかないです。「日本語を覚えること」はゴールじゃない。「覚えたことばで何をするか」「何のために日本語を覚えるか」が大切です。
 
だから私たちは、学生一人ひとりの卒業後をしっかりと考えて接していきたいですね。

伊藤 美保

日本語学習ってずっと続くものじゃないですか。卒業後に就職した先で、きっともっとたくさんのことばや文化を知っていくと思います。
そのときに、楽しみながら身につけられるような習慣をつけてあげたいですね。「学校じゃなくても学べる人」になってもらいたいというか。

宮谷 敦美

たしかにそうですね。日本語学校で一緒に過ごす時間ってすごく少ないです。週にたったの2、30時間程度しかない。学校の外で過ごす時間のほうが圧倒的に長いです。
 
だから、学校で過ごす時間をどれだけ濃く深くしていけるかが大事ですね。教師がいなくても学べる人になる。

Q.4

今後どんな授業をやっていきたいですか?

社会につながり役に立てる学習経験を、日本語学習にむすびつける。

宮谷 敦美

せっかく学校という場にたくさんの留学生が集まるんだから、学んだことをみんなでシェアできる機会があるといいですよね。自分のやり方を発展させていくような、社会の人とつながって、いろんな刺激を受けられるような授業にしていきたいです。

大山 守雄

日本人に対してやってきた教育やコミュニケーションと同じように、楽しく学べるような授業がいいですね。

宮谷 敦美

私が以前やったことがあるプロジェクト授業なんですが、「日本人学生と共に、ホテルの課題を解決する」というものがありました。留学生と日本人学生のそれぞれの視点から、問題点を探っていくんです。お互いの考え方の違いから新しい発見があって、みなさんとても楽しそうでした。

大山 守雄

そういうのをSNSで発信していけば、インバウンドにも貢献できていいですね。日本人の主観で伝える日本の魅力ではなくて、留学生が実際に体験した魅力を伝えることで、日本の良さを感じてくれる方が増えそうです。

伊藤 美保

そういう、外部とのプロジェクトから学べることは多いですよね。マネジメントの視点を持つのにも役立ちます。そうすると卒業後にできることの幅が広がります。学校だからと校内に留まらず、外とのつながりを持てるような取り組みをしたいですね。

宮谷 敦美

外とのつながりといえば、健康診断も留学生からすると大きなプロジェクトのひとつになりますよね。実際に何をしたのか口頭で説明してもらったり、何をするのか事前に調べてみたり。体験談を作文にしてもいいと思います。
 
ほかには…名古屋市港区にある名古屋市港防災センターでワークショップや防災体験をやっているので、それに参加してみたいとも思っていて。

伊藤 美保

防災関係は重要ですね。ぜひやりたいです!
国によって起きやすい災害は違いますから、事前に対策を学んでおくことは重要ですね。

大山 守雄

私たちにとっても学びがありそうですね。
日本の防災対策のレベルは高いと言われていますが、全部が最先端というわけではない。お互いの国の対策を取り入れていくのもいいと思います。

宮谷 敦美

そのために、体験したものを撮影して、出身国のことばでナレーションをつけるプロジェクトとかどうでしょう? 日本語から訳すことで理解度も上がるし、これから日本に来る人や、まだ日本語がそれほど理解できない人にとっても役立つと思います。

伊藤 美保

それはいいですね。
緊急時のことばの壁による問題って深刻ですから。たとえば、宗教上の理由や文化の違い、体質によって食べられないものがあったりすると、災害時に困ります。
 
食材を絵にしたポスターを作って、指をさすだけで伝えられるようにしたりとか、よさそうです。

大山 守雄

いいですね。緊急時以外の日常生活でも役立ちそうです。そういった、日本と留学生の出身国や地域をつなぐための企画はぜひ取り入れたいです。

宮谷 敦美

やれそうなことはたくさんありますね。高齢者の方や企業の方を招いて交流会をしたり…とにかく視野を広げて、学生の可能性を増やせるような授業ができたらと思います。

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